目のピント合わせ
ヒトの目が遠くから近くまで良く見えるのには秘密があります。目の中には高性能のオートフォーカス機能を有するレンズ(水晶体)があり、遠くを見るときにはその厚みは薄く、近くを見るときは分厚くなって、絶えず目の内面(網膜)にピント合わせをしているためです。この働きを調節といいます。
遠視の原理
遠視の目では水晶体が薄い状態のままでは遠くを見てもピントが合いません(図2)。遠くを見ている時からすでに調節が働いて、水晶体が厚くなることで遠くが見えるようになり、水晶体がさらに分厚くなって近くが見えるようになります(図3)。この水晶体は若いヒトほど分厚くなれるので、幼少児は目前の小さなものでもはっきりと見えますが、壮年期以降の水晶体はあまり厚くなれないので近くがはっきり見えません。いわゆる老眼です。
遠視による弊害
小さい頃から水晶体がいくら分厚くなってもピントが合わないほどの強い遠視がある場合、治療しないと視力の発達は停止してしまい、弱視になります。一方軽い遠視なら、遠くはピントが合うために学校の視力検査では発見されにくいですが、近くを見るとピント合わせに負担が大きいため、読書が長続きしない、飽きやすいなど、一見すると性格のような症状があるため、注意が必要です。また遠視の方に老眼が始まると、同じ理由で、眼精疲労、頭痛などを自覚します。