
輝く光が発作的に出現し、光の向こう側が一時的に見えなくなったなら、閃輝暗点かもしれません。閃輝暗点の典型的な症状は、光る点が視野の中心付近に突然現れ、視野の片半分に偏って次第に拡大し、その光の縁はギザギザした鋸状に見え、20分ぐらいで消失します。この特徴は両眼共に同じ光の映像が見えることであり、このことは眼自体の病気でない重要な鑑別点ですが、残念なことに左右の目をそれぞれ遮蔽してどちらの目に光が見えているかを確認している患者は少なく、多くの方が右側(あるいは左)のほうに見えたから右目(あるいは左)に見えたと思い込んでいます。
閃輝暗点は視覚領域の大脳に一過性の虚血が生じると出現し、その虚血が急激に解除されると片頭痛が起こります。従って、発作的な光に引き続いて頭痛が起これば、その光は閃輝暗点である可能性が高いです。ただし片頭痛の好発年齢は若く、50歳以降では起こりにくいため、中高年者には頭痛を伴わない閃輝暗点のみが多いです。もしも高齢者に閃輝暗点に伴う頭痛が出現すれば、脳神経外科を受診すべきです。
子供の瞼に硬い「しこり」を触れることはないですか?その「しこり」が痛みや皮膚の赤みを伴わずに皮膚との癒着が弱いなら、霰粒腫と考えます。上下の瞼には瞼板という硬い板があり、この中にマイボーム腺という脂質を分泌する腺が瞼縁に開口部を置いて縦方向に多数並んでいます。霰粒腫とは脂質がマイボーム腺の開口部から正常に排出されずに周囲の組織に漏れ出して、異物反応が生じ、炎症が起こって出来た「しこり」です。霰粒腫が瞼板内に留まっている場合には小さくなることが期待できますが、霰粒腫が瞼板を突き破りさらに瞼の皮膚までただれる場合、放置すると痕を残すこともあるので、手術を考える必要があります。成人には麻酔の注射をしてから摘出しますが、麻酔自体が強い痛みを伴うため、手術に応じてくれない小児には、抵抗する力が強い四歳以上なら全身麻酔下で手術、三歳以下なら麻酔無しで内容物を単純に抜くだけの切開をします。医療の現場では、全身麻酔をしてまで手術を勧めるべきかどうかは毎回判断に迷います。手術せずに眼軟膏の塗布にて保存的に経過を見ることもあります。
学校検診で視力低下を指摘される児童の中には、眼科的に全く異常がないのに視力が充分に出ない患児がいます。これは何らかの心理的ストレスが影響して引き起こされており、心因性視力障害と呼ばれます。この特徴として多いのが、①視力低下を指摘されるまで本人は気づかない②特徴的な視野異常や色覚異常を合併する③測定ごとに視力が違ったり、凸レンズと凹レンズを組み合わせて度のない状態にしても視力が改善する④前思春期の小学3~4年の女児に多い、などです。
引き金となるストレスは、家庭内の問題や学校関係のトラブルによるものが多いです。また本人は自覚していないですが、メガネに憧れて視力がでないこともあります。心因性視力障害で失明することはなく、通常は一定の年齢になると自然に治ることがほとんどですので、原因を突き止められなくても神経質になる必要はありません。患児には、視力は必ず良くなることを伝えて安心させ、暗示療法として、点眼薬を処方したり、度のないメガネを装用させたりします。
白目は結膜という透明な膜で覆われております。この結膜と白目との間に在る組織の血管が破れて出血した血液が結膜下に貯留すると、白目の一部が真っ赤になります。これを結膜下出血と呼びます。多くは自覚なしに他人に指摘されたりして偶然気づきます。
原因として、咳などの‘いきみ’による静脈うっ滞、血液凝固能が低下する薬の服用などがありますが、多くは原因の推定ができません。原因不明の発症は50歳以上に多く、瞼の縁付近に起こりやすいことから、加齢に伴って弛緩した結膜が瞼の縁でよじれて起こると考えられます。同じようにソフトコンタクトレンズ装用者は脱着時に結膜をよじって起こすことがあります。
結膜下出血は多くは1週~2週間で自然に吸収され、後遺症を残さずに治るため、治療は特に必要ありません。ただし出血が止まらずに異常なほど結膜が膨れ上がるようなら、血小板や凝固因子を著しく消費する病態であるDIC(播種性血管内凝固症候群)などを疑う必要があります。
ご両親のなかにはメガネを掛けて近視が進んだことを経験したので、子供のメガネの装用を極力遅らせる方がいらっしゃいます。しかし必要以上に強い度数のメガネを掛けない限りメガネを掛けることで進行が早まることはなく、掛けても掛けなくても同じように近視は進みます。
メガネを掛けたことがない子供は、眼を細めたり顎を上げたり引いたりして、見やすい工夫を無意識にしており、さらにぼやけて見える像を大脳が解析して鮮明にもしています。これらの努力により、裸眼視力が近視の程度の割には良いことが多いのですが、メガネを掛けて見やすい環境に慣れるとこれらの努力が必要なくなるため、本来の悪い裸眼視力が浮き彫りになります。また視力は近視の進行に合わせて直線的に低下するのではなく、ほんの少し近視になったら滝から水が流れ落ちるように0.2ぐらいまで急激に低下します。つまり少し見えにくくなってメガネを掛け始める時期と、急激に視力が低下する時期が重なります。これらの理由により、メガネを掛けると急に進んだという記憶を持つご両親が多いのです。
レンズの筋肉の緊張を解くことで近視が治るならば、その近視はまだ偽近視の状態であったと言えます。偽近視の治療として多いのが筋肉の緊張をとる目薬を就寝前に点ける方法です。これを3ヶ月続けても近視が減らなければ真の近視と判断します。他の方法として遠くの景色を長い間見つめる望遠訓練があります。また低周波や超音波を使った理学的療法も民間で行われています。ただしこれらの治療を行ってもほとんどが効果なく、あっても一時的です。偽近視に対する治療を行ってもほとんど治らないことから、権威のある眼科医にも偽近視の存在に疑問を持たれている方がいます。
硝子体内に‘濁り’が生じると、眼に入った光はその濁りに遮られ、網膜に影を落とします。
眼球の動きとともに揺れ動くこの影が飛蚊症の正体です。通常50歳以上(強度近視なら若い方でも)の硝子体は加齢とともに液状に変化し収縮して網膜から外れ、完全に外れると輪状の濁りが生じます。この時、突然はっきりした飛蚊を自覚しますので来院される方が多いです。消えないことを告げると大いに落胆されますが、脳がその存在を次第に無視するようで、1ヶ月ほどで気にならなくなります。ただし硝子体と網膜や血管とに強い癒着があると、網膜に孔が開いたり、血管が切れて硝子体内に出血することがあり、レーザー光凝固術や観血的手術が必要になりますので、飛蚊症を自覚すれば眼底検査を一度はすべきです。
白内障手術では点眼による麻酔を徹底するため痛みをほとんど感じません。当院ではさらに緊張を和らげる飲み薬を術前に服用していただきます。手術は10~15分ほどで終了し、少しの休憩後に帰宅していただきます。当院では手術を受けた患者さん全員に手術を記録したビデオを術翌日に手渡しますが、好評を博しております。
少し離れた人の顔が見えにくくなった、屋外ではまぶしくて極端に見えづらい、眼鏡を作り変えてもまた直ぐに見えにくくなったなどの自覚症状があれば、白内障が原因かもしれません。
白内障の治療として主に点眼薬が使用されていますが、水晶体の濁りを遅らせる効果はあるものの濁りを軽減することはできません。見え方で日常生活に不自由を感じるようになれば、積極的に手術を考えるべきです。当院では日帰りで白内障手術を行っています。
眼圧が高いと緑内障の割合が増えるため、高い眼圧には注意を要します。眼圧が低くても緑内障であれば、その眼圧はその方にとって緑内障を引き起こした値であるため治療が必要です。治療は眼圧を下げる点眼が主体ですが、当院では加えて、合併症が非常に少なく再照射が可能なSLTというレーザー治療も行っております。
